AIで競艇を予想していると、一つ気になることがあります。
「このAI、競艇場によって得意・不得意があるのでは?」
インが強い大村と、荒れやすい江戸川や戸田ではレースの性質がかなり違います。同じAIモデルを24場すべてで使って、本当に同じような性能になるのでしょうか。
TAKENOKO BOATで現在使っている予想モデル「Champion」について、競艇場別の成績を調べました。
今回は単純な的中率だけではなく、
- 的中率
- 回収率
- AIが予測した的中確率と実際の的中率の誤差
- 荒れ度
- 買い目をどこまで広げた場合にどう変わるか
まで確認しています。
結論から言うと、競艇場ごとの回収率にはかなり差がありました。しかし、その順位が翌年もそのまま続くほど単純ではありません。
一方で、AIの確率の付け方や「荒れたレースへの苦手さ」には、かなり明確な特徴が見えてきました。
まず学習データの成績は信用しない
最初に、Championが学習に使ったデータも含めて成績を確認しました。
木の学習に使われた期間では、的中率約45%、回収率約172%という、とんでもない数字が出ています。
しかし、これは実力ではありません。
機械学習モデルがすでに見たデータなので、いわば問題集の答えを覚えた状態です。
一方、モデルが見ていない期間では、
- 的中率:約28〜30%
- 回収率:約78〜80%
程度に収まっています。
実運用でもおおむね同じ水準です。
そのため、今回の場別評価では、モデルが学習していない2024年〜2026年8月のデータを主な評価対象にしました。
対象は約14.6万レースです。
競艇場別の回収率を出してみた
現在のChampionと同じ、
「予測確率5%以上・最大6点」
という条件で、24場の回収率を集計しました。
全体の回収率は78.9%でした。
その中で80%以上だった競艇場は6場です。
| 競艇場 | 回収率 |
|---|---|
| 江戸川 | 83.1% |
| 住之江 | 81.7% |
| 常滑 | 81.2% |
| 大村 | 81.0% |
| 丸亀 | 80.8% |
| 多摩川 | 80.7% |
一方、80%未満だったのは18場です。
| 競艇場 | 回収率 |
|---|---|
| 下関 | 79.9% |
| 児島 | 79.8% |
| 唐津 | 79.5% |
| 徳山 | 79.1% |
| 宮島 | 79.0% |
| 蒲郡 | 78.9% |
| 若松 | 78.9% |
| びわこ | 78.5% |
| 鳴門 | 78.5% |
| 桐生 | 78.1% |
| 福岡 | 77.7% |
| 尼崎 | 77.7% |
| 浜名湖 | 77.4% |
| 津 | 77.4% |
| 三国 | 76.8% |
| 戸田 | 76.4% |
| 芦屋 | 76.1% |
| 平和島 | 75.3% |
75%と83%では、かなり違います。
100万円分買った場合、単純計算なら回収75%では25万円のマイナス、83%なら17万円のマイナスです。
まだ利益が出ているわけではありませんが、損失幅はかなり違います。
ちなみに「競艇の払戻率は75%だから、適当に買えば75%になる」とも限りません。
今回、三連単120通りをすべて同額で購入するケースを計算すると、回収率は約60.4%でした。
人気のない大穴まで均等に買うと、市場のオッズ構造の影響を受けるためです。
では江戸川がChampionの得意場なのか?
ここで注意が必要です。
今回最も回収率が高かったのは江戸川の83.1%でした。
しかし、
「Championは江戸川が得意だ。だから今後も江戸川を買えばいい」
とは言えませんでした。
年ごとに分けて調べると、場別回収率の順位はかなり入れ替わります。
前年に80%以上だった競艇場が、翌年も80%以上を維持するとは限りません。
例えば2024年に80%以上だった10場のうち、2025年も80%以上だったのは3場だけでした。
3年間すべて80%以上だったのは大村だけです。
大村は、
- 81.3%
- 81.1%
- 80.5%
と比較的安定しており、さらに実運用でも85.5%でした。
ただし24場を同時に調べれば、偶然でも1場程度はこのような結果になる可能性があります。
したがって現時点では、
「過去の回収率が高かった場だけを買う」戦略には十分な根拠がない
という判断です。
的中率の差はかなり安定していた
回収率とは違い、競艇場別の的中率は年をまたいでもかなり安定していました。
ただし、これはChampionの得意不得意というよりも、競艇場そのものの性質による部分が大きそうです。
インが強く堅い場では的中率が高くなり、
荒れやすい場では低くなります。
つまり、
「大村では当たりやすく、戸田では当たりにくい」
からといって、それだけでAIが大村を得意としているとは言えません。
場自体の難易度が違うからです。
荒れ度別に見ると、さらに明確な差が出た
TAKENOKO BOATでは、レースを配当予測から5段階の「荒れ度」に分類しています。
現在と同じ買い方で集計すると、次の結果になりました。
| 荒れ度 | 的中率 | 回収率 | 予測誤差 |
|---|---|---|---|
| 1 | 53.4% | 81.3% | -1.4pt |
| 2 | 40.9% | 79.5% | +0.2pt |
| 3 | 28.4% | 78.9% | +0.5pt |
| 4 | 13.5% | 76.2% | +0.9pt |
| 5 | 4.8% | 72.9% | +0.7pt |
荒れるほど明確に回収率が低下しています。
荒れ度1では81.3%。
荒れ度5では72.9%。
Championは、堅いレースの方が現在の買い方と相性が良いようです。
一方で、競艇場ごとの荒れ度構成と回収率との相関は0.15程度しかありませんでした。
江戸川・平和島・戸田はいずれも荒れ度4〜5が多い競艇場ですが、
- 江戸川 83.1%
- 戸田 76.4%
- 平和島 75.3%
とかなり違います。
つまり、
「江戸川は荒れるから成績が悪い」
というような単純な説明でもありません。
AIが「30%当たる」と言ったら、本当に30%当たるのか
次に、最大6点という制限を外しました。
AIが予測した確率の高い買い目から順番に購入し、
「累計予測確率が20%になるまで」
「30%になるまで」
「40%になるまで」
という形で買った場合を調べました。
結果はかなり興味深いものでした。
| 目標累計確率 | 平均点数 | AI予測 | 実際の的中率 | 誤差 | 回収率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 20% | 3.4点 | 23.4% | 22.9% | +0.4pt | 78.0% |
| 30% | 5.4点 | 32.6% | 32.3% | +0.3pt | 78.2% |
| 40% | 8.1点 | 42.0% | 41.7% | +0.3pt | 77.6% |
| 50% | 11.5点 | 51.5% | 51.3% | +0.2pt | 77.7% |
| 70% | 22.4点 | 70.7% | 70.7% | 0.0pt | 77.3% |
| 90% | 50.1点 | 90.2% | 90.3% | -0.1pt | 74.2% |
これは個人的にもかなり面白い結果でした。
Championが、
「この買い目を全部合わせれば約30%当たる」
と予測したものは、実際にもほぼ30%当たっています。
5%〜95%まで調べても誤差は0.6ポイント以内でした。
実運用でも0.9ポイント以内です。
つまりChampionは少なくとも全体として見ると、
的中確率の予測自体はかなり正確
です。
しかし、それでも回収率は100%になりません。
「当たる確率を正しく予測できること」と、
「市場より高い期待値の舟券を見つけること」
は別問題だからです。
堅いレースでは絞り、荒れるレースでは広げる方がマシだった
さらに荒れ度ごとに、買う範囲を変えてみました。
| 累計確率 | 荒れ度1 | 荒れ度2 | 荒れ度3 | 荒れ度4 | 荒れ度5 |
|---|---|---|---|---|---|
| 20% | 83.1% | 80.7% | 79.1% | 77.6% | 73.3% |
| 50% | 81.2% | 79.0% | 78.9% | 76.8% | 75.8% |
| 90% | 70.2% | 72.2% | 73.3% | 75.6% | 77.7% |
荒れ度1では、上位の買い目だけを買った方が回収率が高くなっています。
逆に荒れ度5では、広く買った方が回収率が改善しました。
Championは、
堅いレースでは上位候補に価値が集中し、荒れるレースでは上位数点だけでは拾いきれない
という特徴を持っている可能性があります。
特に荒れ度1・累計20%は、過去3年で、
83.0% → 83.5% → 82.4%
と80%以上を維持しました。
ただし、ここにも注意点があります。
2026年9月以降の実運用では、この条件の回収率は73.5%でした。
対象は898レースで、過去データほど良い数字は出ていません。
過去の成績だけを見て、そのまま本番ルールを変更するつもりはありません。
今後のデータでも同じ傾向が続くか、引き続き記録していきます。
結論:競艇場の得意不得意は「回収率ランキング」だけでは分からない
今回の検証から分かったことをまとめます。
競艇場ごとの回収率には75〜83%程度まで明確な差がありました。
ただし、その順位は年によってかなり変わり、
「去年良かった場を今年も買えばよい」
というほど安定してはいませんでした。
一方で、Championには別の特徴が見えてきました。
- 全体として予測確率と実際の的中率はかなり一致している
- 荒れ度が高くなるほど回収率が低下する
- 堅いレースでは上位候補に絞った方が成績が良い
- 荒れるレースでは買い目を広げた方が損失が小さくなる
- 競艇場によってAIの確率がやや強気・弱気になる傾向がある
つまり、
「どこが当たりやすいか」より、「AIが自分の予測をどの程度正しく評価できているか」
の方が重要なのかもしれません。
TAKENOKO BOATでは今後、単に予想買い目を表示するだけでなく、
AI予測確率と実績の誤差、オッズから計算した期待値(EV)
も確認できる方向で検証を進めています。
AIが30%と言ったものが本当に30%当たるなら、次に必要なのは、
その30%に対して、現在のオッズが高いのか安いのか。
競艇AIの次の課題は、的中率よりもこちらになりそうです。
※本記事は過去データを使ったAIモデルの性能検証です。将来の的中や利益を保証するものではありません。


コメント